任天堂と言うと徹底した堅物ゲームメーカーという印象が強く、いや、事実そうなんですが、まさかそんな任天堂作品中にこれほど胸ときめかせてくれる物件があるとは!これだから世の中わからないもんです。
「ゼルダの伝説」と言えば「マリオ」と並ぶ任天堂の大看板。私も1作目からはまり込んだクチです(歳がバレる…)。むろん、この64版ゼルダ「時のオカリナ」もやられネタを期待してプレイしたわけではありません。いやもう想像を遥かに超えた素晴らしい面白さでした!まずゲーム中の「空間」からして違う!自分の家から出てコキリの村が眼前に広がった瞬間から私はもう…(以下10万字削除)
…失礼しました。ともかくゲームとして文句なく素晴らしいゼルダですが、なかなか良い見所が実はあります。
ゲーム中盤を過ぎたあたりにゲルド族という連中が登場します。こいつらは一族として盗賊を生業とする連中で、なんと族長を除いて全員が女性なのです。物語の成り行きで彼女達の砦へ忍び込む事となった主人公、見張りの目をかいくぐって捕虜を救出しなければなりません。
警備をしているゲルドの女達には2種類があります。
まず要所を固めている見張り、大部分はこの種類です。その場で動かないものと一定軌道を巡回するものがおり、見つけられると出発地点の牢屋に戻されてしまいます。再挑戦は何度でも可能ですが、物品の消耗はそのまま。彼女達の目を盗んでやり過ごす事もできますが、それだけでは先に進めない場合もあります。なにより、やり過してしまっては意味がありません、やはり殺り過ごさなければ(笑)。
倒し方は剣か弓のいずれか。どちらでも当たれば一発で死にます*注1。「ウッ!…」と呻き声を上げてバッタリ倒れるだけなんですが、「天誅」のように「密殺」という感じでなかなか興奮します。特に弓矢による狙撃は最大射程が非常に長いため、遠くにいる豆粒のような女盗賊が一発でバタリと倒れると胸のすくような快感!(どんなに距離があろうとやられる声が聞こえるのも良し)。気分はデューク東郷といったところでしょうか。倒した女兵士は画面を切り替えない限りその場に残るので(切り替えると復活)、目一杯近寄って「見回しモード」で舐めるように眺めたりしたもんです(変態リンク)。もうガチガチにポリゴンなんですが、けっこう燃えました。倒れている敵へ更に斬りつけようと必死に剣を振り回しまくったりフッ飛ばそうと爆弾仕掛けたり焼き尽くそうと炎の魔法で攻撃した事もありましたねぇ(鬼畜リンク)。どれもイイ思い出です(笑)。
もう1種類は捕虜が捕われている牢獄を守る二刀流の女戦士。前述の見張りは「見つかったらアウト」という隠密任務なので戦闘にはなりえませんが(一応グラフィックの上では槍を持ってます)、こちらはきちんと戦って撃退します。負けると牢屋から再挑戦。掛け声も勇ましく斬りかかって来る女戦士に何度か攻撃を当てると勝ち。こちらは本当に退けるだけでとどめは刺せませんが、やられた瞬間「キャーッ!」とカワイイ悲鳴をあげてしりもちをつく様はなかなかよろしい。その後すぐ起き上がって天井に消えます。登場する時も天井から…ニンジャ?
以上の2種類とも格好は基本的に同じ(色違い)。アラビアンな雰囲気の民族衣装に身を包み、顔はヴェールで覆っています。髪型はポニーテール。3Dキャラの造型は現在の水準からすると相当にポリゴン臭く感じます。顔がゼルダ特有の「とんがり鼻」である事も問題。でも実を言うとそんなに気になりません。この手の物件はプレイ行為の内容と雰囲気がキモだからです。
基本的には「天誅」とプレイ感が良く似てます。ただし、あくまで局所的な要素なので、あれほど凝ってはいません。たとえばすぐそばにいる仲間が目の前で倒されようと全く気にしません(笑)。この辺りは相当に割り切った作りになっています。
全体からするとごく一部分で、しかも物語をかなり進めないと辿りつけないのが難点ですが、ゲーム自体が傑作なので「アクションは脊椎反射だけでプレイできるのじゃなきゃヤダ」という人以外なら普通に楽しみながら到達できると思います。「労力に見合うのか?」と問われれば「『労力』と感じる人にはお薦めしない」と答えておきましょう。