自分の身体に抱き付き身体の自由を奪おうとするくノ一達を振り払われるように、次々と手荒に斬り捨てる龍丸。
「何だコイツら!正気か!?」
困惑を隠せない龍丸に、振り払われはがれ落ちたように空いた箇所をまた新たなくノ一が抱き付く。多勢に無勢、時間の経過とともに龍丸は体力を消耗していく。
「ぎゃーっ!」
悲鳴と共に龍丸に斬られ振り払われた勢いで、自分の足元まで転がり絶命した仲間を気にすることもなく、平然と指揮をとるくノ一の頭領。
「殺すな!生かしたまま捕らえろ!」
その非情なまでの命令に全く臆せず、おびたたしい仲間の亡骸を飛び越えるように波状の攻撃を仕掛ける下忍のくノ一達。そんな攻防が際限なく繰り返されていった。龍丸の身体の自由が除々に奪われていった。
「もう抵抗はよせ。無駄だ。」
劣勢の龍丸を見下げるように感情なく言い捨てるくノ一の頭領。
「殺すつもりなら今すぐにでも簡単に殺せる。お前にはこちらが犠牲を払った分、役にたってもらう。」
自分の呼吸の乱れと呼応するようにただ必死に抱き付いているくノ一達の呼吸も大きく乱れていた。極度の体力の消耗で、自分の身体を埋め尽くさんばかりのくノ一達から発せられる熱気をも息苦しく負荷に感じるようになっていた。そこには既にくノ一達の負荷に片膝でかろうじて踏ん張っている龍丸がいた。もう太刀での抵抗ができない様子を確認すると取り巻きのくノ一の数人が小太刀を抜き龍丸に切っ先を突き付けた。


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